2008年6月11日水曜日

ヨーロッパ最後の「魔女」

グラールス州がヨーロッパ最後の「魔女」Anna Göldiの名誉回復を正式に決定しました。
(ドイツ語のニュースはこちら

去年もこの名誉回復は議題になったんですが、州議会は否決したんです。
このことが話題になるまで、私は魔女狩りや魔女裁判ってもっとずっと昔のことだと思っていました。
でもAnna Göldiの事件は1782年、ほんの200年ちょっと前のことなんですよね。

この事件は地方の有力者Johann Jakob Tschudiの家で女中として働いていたAnnaが、Tschudiの娘の一人に危害を加えたということになっていたんですが、実際にはAnnaと内縁関係(というか、一方的に関係を迫っていたらしい)にあり、子どもまでもうけていたTschudiが自分の保身のために邪魔になったAnnaに魔女という言いがかりをつけて法律に則って抹殺した、ということのようです。

この事件の問題点は司法が権力に屈し、確たる証拠もないのに法に反して死刑を執行した点にあります。
「お偉いさんの言うことには逆らえねえべ。」
ってことだったんでしょうか。
地元の権力者におもねる、法律を曲げる、なんてことは現代社会でもあり得ることですが、さすがに「魔女認定」はないでしょう。
(似たような誹謗中傷はありですが...)

スイスでも都会にお住まいの方、或いは地元と全く接点のない生活の方はそれほど感じないかもしれませんが、保守的な田舎に住んでいると、時々今でも国が定めた法律とは別のルールで社会が動いているんじゃないかと思ってしまうこともあります。
人の心は200年前とそんなに変わっていないんじゃないでしょうか...。

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